シアトルの巨大博物館「Museum of Flight」をめぐるレポートその4。今回はWW1の飛行機たちです。
第一次世界大戦はヨーロッパを主戦場にしたため、ここアメリカの機体はそんなに多くはありません。中でもドイツ・イギリス・フランスの戦闘機の展示数は軍を抜いています。
多くがリプロダクションの復刻版ですが、どれも非常に美しく維持されているので必見です。
前回までの様子:
その1:【博物館】シアトルにある世界最大級の博物館『Museum of Flight』訪問レポ:現代航空機編
その2:『シアトル航空博物館』訪問レポその2:宇宙コーナーも超充! プロトタイプスペースシャトルやX-20も
その3:『Museum of Flight』訪問レポその3:月面に残された写真と人形とは! 宇宙コーナー後編
飛行機紹介
まずは上の画像の機体です。
Albatros D.Va (L24) Reproduction
機体名をクリックすると、「Museum of Flight」の詳細な機体解説ページへとジャンプします。(英語)第一次世界大戦のドイツに一時航空優勢をもたらした名シリーズ「アルバトロスD」複葉機の最終型「アルバトロス D.Va」です。
箱型の機体が多いWW1の中、美しい流線型のセミモノコック構造が素晴らしいです。
ド派手な塗装が目立ちます。
Royal Aircraft Factory S.E.5a Reproduction
イギリスの戦闘機「S.E.5a」です。
王立航空工廠で開発された複葉戦闘機で、大戦末期に連合軍の主力として活躍しました。
最終的には5000機以上が生産された名機です。
このS.E.5aとあるようにaバージョンは様々なメーカーによって生産され、カーチスのものはアメリカ軍によって運用されました。
定番の等身大ジオラマも多数あります。
中でもこのイギリス空軍パイロットの宿舎では、パイロット達が紳士らしく律儀に紅茶を飲んでいるシーンが再現されています。
当時の流行の文化も窺い知ることが出来ます。
兵舎の外にはエンジンの展示。
機体そのものに注目しがちですが、エンジンの進化も重要なポイントです。
剥き出しのエンジンを比較することで、その変遷を良く観察することが出来ます。
インメルマンターンなど、当時生まれた沢山のマニューバが図説されたポスター。
家に飾りたい代物です。
Aviatik (Berg) D.I
水冷エンジンを搭載したオーストラア=ハンガリー帝国の戦闘機「アヴィアティックD.1」です。ベルグ技師の名をとって「ベルグ戦闘機」とも。博物館でオーストリア=ハンガリー二重帝国の戦闘機を目にするのは珍しいです。
カクカクした機首が非常に特徴的なデザインです。
そしてこの博物館の ベルグ戦闘機は世界でも極めて珍しいオリジナルだそうです。
ウィーンで生産され、その後ベルグ不動産が保持していたとか。
同じく貴重な2基の8mm機関銃を装備しています。
Nieuport 24bis Reproduction
お次はフランスの飛行機メーカー・ニューポールの戦闘機「ニューポール24」です。
120馬力ロータリーエンジン搭載。
被弾に弱かった為練習機などで活躍したそうです。
復元されたモデルは当時のフランス人エースのポール・タラスコのモデルで、彼は飛行機事故で足を切断したにも関わらず、その後再び空を飛んだ不屈の闘志の持ち主として知られています。フランスの象徴・ゴロワが描かれています。
ちなみに、日本でもライセンス生産されニ(ニューポール)式24型戦闘機として活躍していました。
Curtiss JN-4D Jenny Reproduction
ついにやってきました、アメリカの飛行機です。
カーティス「JN-4D "ジェニー"」。
アメリカでもっとも有名な飛行機のひとつ「ジェニー」ですが、人気の練習機としても活躍しました。
驚くべきことにその生産数は10,900機。 戦後は民間シーンでも大活躍しました。
この機体のオリジナルは1917年にマサチューセッツだそうです。
SPAD XIII (S.13) Reproduction
こちらはフランスの戦闘機「スパッド13」です。
8000機以上が生産され、日本にも輸出されス式一三型戦闘機としてニューポールの機体とともに活躍しました。
当時は米軍でも使用され、WW1中如何にフランスが飛行機大国だったかを裏付けています。
大量の精密な模型も展示
既に100年以上前の出来事である第一次世界大戦。
その際に活躍した多くの機体はすでに存在していません。
しかし、残された多くの資料から多数の模型が各メーカーから発売されています。
そしてこの博物館でも、プロのモデラーの手による非常に精密な再現模型が多数展示されており、各国の主要な飛行機を網羅しています。
なかでも殆ど残っていない大型爆撃機などが見どころです。
このの他にも沢山の飛行機が展示してありますが、その全てを紹介するのは不可能です。
正直、丸2日かけないと全てを観察することはできないでしょう。
展示エリアそのものは、宇宙エリアより遥かに広いです。
なのでこの記事で興味を持たれた方は是非!シアトルへ行ってご自分の目で確認して来てください。きっと圧倒されるはずです。
次回からは遂に第2次世界大戦の機体が登場します。
大日本帝国陸軍のあの名戦闘機にもご対面です。
【博物館】「Museum of Flight」その4 : WW1の飛行機ギャラリー。ベルグ戦闘機と実物大ジオラマは必見!
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