★★★☆☆
200ページ弱の宇宙啓蒙書です。といっても内容は非常にわかりやすく、文字数もかなり少ないのであっという間に読み終わります。適度に軽い内容なので、頭空っぽにして読めました。
そもそも、日本に宇宙エレベーター協会なるものがあることを知らなかったのですが、なかなか活発に活動していらっしゃるようです。エレベーターの大会もなかなか面白そうで、安全上一般公開はされていないとのことですが、鳥人間コンテストと同様、絵的には非常に面白いと思うので一度取材とか受けたら一気に広がると思います。
内容としては宇宙エレベーターとは何なのかをわかりやすく概説した後に、田原総一朗やホリエモン、富野由悠季、山崎直子氏など著名人の宇宙エレベーター対談が記されています。また各大学教授や有識者の意見も一通り書いてあります。異色な記事として「宇宙エレベーターできた体」でのシュミレーション旅行記のようなものも載っていて飽きないです。個人的に面白かったのが、宇宙エレベーターコンペで優勝した技術者の体験記。本当に普通の人がこの技術の黎明期に立ち会っているんだなあとしみじみ感じました。
実際の映像は文章で見るよりはるかに面白いですね。
実際の映像は文章で見るよりはるかに面白いですね。
この映像、かなりちゃんと編集されているしクライマー視点の映像も非常におもしろいのでもっと再生回数伸びてもいいと思うんですけどね。クライマーが燃えると流石にヤバそうな感じも伝わってきました(笑)
カーボンナノチューブの根本的な問題もあるのでまだまだこれから、と言った感が極めて強い宇宙エレベーターですが、将来的には必要になるとは思うので気長に見て行きたいですね。ただ、カーボンナノチューブ以外の技術が熟成しきっても肝心のカーボンナノチューブが完成しないと意味がないので、『LUNER-A』のペネトレーターのようにはならないで欲しいですね。コストも100分の1だとスペースXのR型とそこまで差を感じないような気もするので、もっと強気にコスト安を強調してもいい気がします。
また、冒頭で紹介されているように大林組の素案を全てのベースにしているようなので、大林組の宣伝とも捉える事ができますね。まあ建設や自動車メーカがR&Dの一環で様々なポンチ絵を出してきていのるは慣例なので、生暖く見ておきましょう。
上手く行けば2050年頃にできるようですが、リニアが10兆円なら今直ぐにもリニア代替案として作って欲しいですね…納税者としては。新幹線ほど劇的な成果が見込めない感のあるリニアに金ツッコむなら、無茶しても夢のある事業やってもらいたいです。正直京都まで2時間は欲しいです。これ以上早くしなくてはならない必要性を全く感じません→リニア。
といっても次期主力ロケットH3に見込まれる予算が130億円の国では何言ってもしょうがないですけどね…はあ…
本としては、後ろの方のアニメや漫画のレビュワーの記事いらなかったと思います。不真面目とまではいかないまでも、なんだか本のバランス悪くなってしまったような気がします。紙媒体ではあまりラフな文体見たくないですからね。外国の方が書いていた、宇宙エレベーターの将来性に関する話などはビゲローのインフレータブル構造への言及もあり、具体性があって興味深かったです。
あとは、富野由悠季ですかね。相変わらず破滅的な作品になるとしか思えないGレコですが、まあ軌道エレベーターは壊れるだろうなあ…とYotubeのインタビューみて思いました。
【書評】宇宙エレベーターの本(宇宙エレベーター協会、2014年) 感想
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16:55:00
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